最初にその病気である可能性があるのか、大まかに調べることをスクリーニングと言います。
最初から、長時間かかる心理検査や画像検査を行うわけにもいかず、特にそのような検査が可能ではない施設も多いので、まずは認知症である可能性があるのか判定する目的で、日本では長谷川式やMMSEが良く用いられます。
今回はこのような認知症のスクリーニングに使われる検査で正しい判定が行われているか調べた研究の紹介です。
簡易的な認知テストを用いたときに起こる誤った判定を予測する因子
今回対象となったテストはMini-Mental State Examination (MMSE)、Memory Impairment Screen (MIS) 、animal naming (AN)の3つで、いずれも認知症の可能性の有無について大まかに短時間で調べる検査です。
824人の高齢者について、より包括的で詳しい検査を標準として正誤を判定したところ、35.7%の参加者で3つの検査のうち1つ以上の検査で間違いが生じていました。
また、この間違いを生じやすい予測因子として、
①高い教育歴→高い偽陰性(間違って認知症はないと判定すること)の確率
②住居が施設→低い偽陰性の確率
③情報提供者(家族や友人など)がいない→全体的に間違った結果となりやすい
スクリーニング検査は診断の手段が限られた施設では特に重要で、便利なものですが、これらの限界を踏まえた上で、情報を総合的にとらえて診断することが必要であると思われました。