海外でも、日本でも自閉症の診断までに時間がかかり過ぎることが指摘されています。
診断に詳細な発達歴や複数の心理検査が必要であり、その診断を行うことができる専門家が少なく、予約をしても最初の受診までに数か月を要することも少なくありません。
早期の療育が重要であることが示されているなかで、発達早期の長い待機時間は患者さんにとって大きな不利益になるので、診断までの時間の短縮が望まれます。
今回はこのような診断までの時間を短縮するために役立つかもしれない研究をご紹介します。
ホームビデオについての機械学習で自閉症の診断を容易にする
8個の機械学習モデル(人間の行う診断を真似る機械のモデル)で162本のホームビデオを分析しました。途中では専門家ではない採点者がYes,Noでアイコンタクトがあったか、社会的な微笑をするか等について評価する過程があるので、まったくすべて機械まかせというわけではないのですが、このような非専門的な評価だけを入力すれば、かなりの高確率(90%以上)で正しい診断が行えることが分かりました。
このように、診断の大部分を単純化し、学習機能を持った機械を導入することで正確性を増すことができるならば、(専門家による確認は必要かもしれませんが)診断までの時間を短縮できそうです。
上記のような技術によって、診断までの待機時間を減らすとともに、現在認められる各専門家の診断の違いも、少なくすることができるのではないかと期待させる内容でした。