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子どもへの抗精神病薬投与について


統合失調症や精神病性の症状に対して使われる薬の中に「抗精神病薬」という種類があります。ごく少量で、気分安定や不安・不眠に対しても効果があり、若年の発達障害やADHD、行為障害等に対しても副作用に注意しながら使用されることがあります。

今回はこのような子どもや若年者への抗精神病薬の使用に関して調べた論文について説明させてください。

抗精神病薬の使用と子どもや若年者における突然死の危険性

後ろ向きのコホート研究と言われる手法で1999年から2014年にわたって、5歳から24歳のおよそ19万人が調査の対象となりました。

クロルプロマジン換算(効果によって抗精神病薬の量を種類によらずに一括して表現する手法)で高用量(50㎎以上)を使用しているグループと低用量(50㎎未満)のグループに分けて調査されました。

高用量のグループでは、一般人口よりも突然死(循環器系疾患や外傷など他の原因によらない予期しない死)が増加(一般人口で年間10万人あたり54.5人→高用量146.2人)していました。低用量のグループでは一般人口との差は明らかではありませんでした。

突然死の内容の詳細は不明で、必ずしも薬剤の使用のみが死亡の原因とは言えないかもしれませんが、元々の精神症状と併せて薬剤の副作用が影響を与えた可能性は否定できないと思われます。

当然のことかもしれませんが、子どもや若年に限らず、まずは薬剤を使用するか適応をを厳しく判断し、精神症状を詳しく確認しながら最低限の用量にする必要があると考えました。


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