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もりさわメンタルクリニック

生活困窮と過食、肥満との関係


「神経性大食症」という病気を聞かれたことはあるでしょうか? 「過食症」といった方が理解されやすいかもしれません。どんな病気なのか、診断基準の項目を下に書いてみます。

「神経性大食症」 A. むちゃ食いエピソードの反復、エピソードの間は食べることを制御できないという感覚 B. 体重増加を防ぐための不適切な代償行為の反復(自己誘発性嘔吐、下剤、利尿薬、浣腸、絶食、過剰な運動) C. 上記A. B. が3ヶ月以上、平均週1回以上ある。 D. 自己評価は、体型及び体重の影響を過剰に受けている(太ると自己嫌悪、やせると自信回復)

以上のようにむちゃ食い(binge eating)と言われる食べ方の異常が特徴で、自分の指を口の中に入れて吐くなどの排出を伴う場合とそうでない場合があります。

体重の顕著な変化、電解質の異常等を伴うと突然死の危険もあり、精神的な支えはもちろんですが、身体管理も重要な精神疾患と言えます。

今回は、生活の困窮(食品入手の困難さ)と過食症・肥満の関連性について調べた研究です。

生計上の困窮は過食症・肥満と関連する

85人の過食症罹患者、456人の肥満体型の参加者を含む、合計1251人が調査の対象となりました。

食品入手の困難な程の経済的窮状があれば、体型は痩せに傾き、過食に用いる食品入手も困難で罹患者が少なくなるのではないか、という考えもあるかもしれませんが、結果は逆になっていました。

食品入手が困難な経済的困窮がある場合の方が過食症はより多く(健康体重の集団の2倍程度)、肥満が生じる割合も高くなっていました。

こうした現象が起こるしくみ自体は明確ではありませんが、生活上の困窮による精神状態の悪化や大量の食品摂取(購入)による悪循環が生じていることも考えられました。

いずれにしても、精神疾患を考える時にはこのような逆説的な状態が起こる可能性も考え、生活全体を支えていく必要性があると思われました。

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