睡眠障害(不眠)のタイプとして
①入眠困難
②中途覚醒
③早朝覚醒
④熟眠障害
が主なところだと思うのですが、特に③の早朝覚醒は中途覚醒の中でも覚醒の時間帯が3時から4時頃と、早朝にずれ込み、そのまま眠れずにつらい朝を迎えることが多く、うつ病に良くみられるタイプの睡眠障害として有名です。
このように睡眠障害の中でもある疾患と結びつきやすいものや、治療の仕方が異なるものがあり、それぞれの性質を良く理解することが大切です。
今回は統計的に妥当性の高い睡眠障害のタイプ分けを示した論文を紹介します。
生活歴や情動・人格の特徴から考えた不眠の分類
オランダの睡眠調査に登録された4322人が対象となりました。質問により参加者の不眠指数:Insomnia Severity Index (ISI)が測定され、10点以上を不眠症と考えました。
さらに質問紙を用いた調査で不眠のタイプを分類したところ、下記の結果を得ました。
①highly distressed 高度障害型
②moderately distressed but reward sensitive (ie, with intact responses to pleasurable emotions)中等度障害、情動反応型(例として、喜ばしい感情には改善を示す場合)
③moderately distressed and reward insensitive中等度障害、情動非反応型
④ slightly distressed with high reactivity (to their environment and life events)軽度障害、環境反応型(環境変化や生活上の出来事に反応する)
⑤slightly distressed with low reactivity軽度障害、環境低反応型
上記のように分類した後、さらに他のコホート(異なった対象者の集団)で調べたところ、高い妥当性を示したとのことです。
こうした重症度と反応性までみた場合の不眠のタイプを考えるとお互いの重なりが少なく、網羅性の高い分類となることが分かりました。
単に分類を正確に行うだけではなく、合併する疾患の発見やより有効性の高い治療方針の決定にも役立ちそうであると思われました。