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もりさわメンタルクリニック

抗うつ薬の止め方について


うつ病がほぼ軽快した状態でも、抗うつ薬の服用を続けていらっしゃる方は多いと思います。

その理由としては抗うつ薬の離脱症状もあるかもしれませんが、一番多いのはうつ病の再発・再燃に対する不安ではないでしょうか?

アメリカでは抗うつ薬の平均服用期間は5年間に及ぶと言われます。

日本で中等度以上のうつ病で抗うつ薬の処方を開始した場合、実践上、症状が安定した後も3か月~半年程度の観察期間を置くことが多いと思われます。

症状が再び出現するのを警戒してのことではあるのですが、これだけ投与期間が長期に及ぶと、本来の病状以外にも脱習慣化による不安が重複し、より薬剤の中止をめぐる心理的状況は複雑になるような気がします。

今回は、抗うつ薬を止める時に心理療法を追加した場合の、再発率の変化について調査した研究です。

抗うつ薬の中止を管理する

今回の研究は複数の研究を統合することを目的としてメタ分析という手法なので、15の論文が調査の対象となりました。

その中で、特に注目されたのが、抗うつ薬中止の際に、心理療法を追加したか否かによるうつ病の再発率(2年間)の変化を調べた2つの研究で、統合した結果は以下のようになっていました。

①認知行動療法を追加した場合の再発率(15~25%)は、一般的な診療による管理での再発率(35~85%)よりも低くなっていました。

②マインドフルネスをベースとした認知療法(MBCT)を追加した場合の再発率(44~48%)は、一般的な診療による管理での再発率(47~60%)と大きな差はありませんでした。

②のマインドフルネスを追加した場合も若干の低下はありますが、統計的には意味のある差ではないようです。

今回御紹介したのは、薬剤の中止に心理療法を追加した場合の結果でしたが、これに限らず、薬剤を減量・中止していく場合には、説明を丁寧に行うことを含む心理的サポートを意識的に行う必要があると感じました。

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