
アルツハイマー型認知症は早期発見・治療が大切な病気です。現在、使用されている薬剤の効果も早期の病態に対する効果が高く、発見時期が治療の効果を左右する面があります。
以前にこの点に関して睡眠の質が関係することを指摘した論文を紹介しました。今回は家族内発症の特殊なタイプではありますが、非常に早期にアルツハイマー病を予見する研究について説明させてください。
血清中の神経線維物質の変化が、症状が出現する以前の段階で神経変性とアルツハイマー病の進行を予測する
243人の家族性アルツハイマー病の遺伝子変異をもつ対象者について、長期に渡って血清中の神経線維物質を測定しました。
ただ一点ではなく経時的な変化の程度をしらべることにより、症状が現れる16年以上前にアルツハイマー病の発症を予測することが可能であることが分かりました。
このような発見により、循環器系の疾患に対する脂質測定の果たす役割が、血清中の神経線維測定で可能ではないかと議論されています。
病態の指標となる関連物質がみつかることにより、今後アルツハイマー病が完全に防ぐことができなくても、ある程度予防の可能な疾患になる可能性を感じさせる論文でした。