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性格が明るいと糖尿病が減る?

もりさわメンタルクリニック

健康的な食習慣、継続的な運動、生活リズムの維持等が糖尿病の予防に良いことはしばしば言われており、一般的にも浸透している事実だと思われます。

もう一つかなり信頼性が高い証拠があるのが、うつと糖尿病の関係で、うつの状態はそれだけで糖尿病の発症リスクを高めることが指摘されています。

今回は“Menopause(更年期)”とういう更年期以降の女性を対象としたやや限定された領域の医学雑誌掲載なのですが、性格的な要因も大きく糖尿病リスクに影響するという内容の論文を紹介させてください。

更年期以降の女性における性格特性と糖尿病発症率

139924人の閉経以降の糖尿病がない女性が対象となりました。14年間経過を追ったところ、19240人が糖尿病を発症しました。これらの方たちについて、食行動や運動を含む生活習慣、うつの存在などによる影響がないように調整した結果として、以下のことが示されました。

①楽観的な傾向が強い上位4分の1の集団と、下位4分の1の集団では、前者の方が12%糖尿病にかかるリスクが低かった。

②ネガティブな感情表現の多さについて、上位の集団は糖尿病を発症するリスクが9%高かった。

③敵意を持つ傾向についても同様に上位集団は糖尿病になる危険性が17%高まっていた。

つまりネガティブな感情表現や敵意が高いほど糖尿病になりやすく、楽観的であるほど糖尿病になりにくいということが言えます。

今回、特に意味が大きいのは性格的な要因が、(閉経後女性という限定された対象ではあっても)生活習慣とは独立に身体疾患である糖尿病に影響を与えることが示されたことです。

身心一如(しんじんいちにょ)という仏教用語がありますが、私たち人間には、心の状態から生活習慣を介さずに体へと影響を及ぼす力の強い経路があるようです。

糖尿病に限らず、体の状態を整えようとするときは、まず「心を整える」というやり方は正しいのかもしれないと思いました。

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