以前から何度か認知機能と運動の関係に関する論文をご紹介してきました。
中年以降の有酸素運動が認知機能の低下を防ぐ効果があることは明らかのようですが、今している運動の結果を今受け取りたいと思うのが人情ではないでしょうか?
今回は、若い世代で行う運動が、短期的にも効果をもたらすかもしれないという論文を紹介します。
Effect of aerobic exercise on cognition in younger adults A randomized clinical trial
若年層における有酸素運動の認知機能に対する効果
20歳から67歳の認知機能に問題のない方たち132名が調査の対象となりました。ランダムに有酸素運動を行うグループと、ストレッチを行うグループに振り分けられ、トレーニングの頻度は週に4回、実施の期間を6か月に設定しました。
有酸素運動のグループはストレッチのグループに対して以下のような特徴を持っていました。
①より大きな有酸素運動機能の改善とBMIの低下を示した。
②認知機能の改善(特に遂行機能と言われる領域)が大きい。
③脳の皮質(左の前頭葉)の体積増加が大きい。
以上のような結果から有酸素運動は他の活動よりも、認知機能とその基礎となる脳の状態に対して健康促進的に働くことが示されたとしています。
現在まで発表されている研究は、結果を高齢層での認知機能低下防止に求めることが多かったのですが、今回の結果はそこまで待たなくても、現在行っている運動は、現在の脳の状態を大きく改善させる効果があるようです。
認知機能の改善を求める時に、脳のトレーニングを目的に筆記によるドリルや手先の運動が推奨されることがありますが、体全体を使った有酸素運動も選択肢に加えられると良いと思われます。