自分のことだったらまだ耐えられるけど……子どもについてそんな風につらく感じられたことがあるかもしれません。
子どもが痛みや悩みで苦しんでいる時、親として何をして良いか分からない、どうにもしてやることができないのは非常につらいことです。
今回は米国精神医学会の小児科誌で「子どものうつ」についての記事があったのでご紹介します。
最も重要と思われる概要を示した部分を抜粋させてください。
「思春期うつの治療」
①心を開いた、「支え」を主とする関係をお子さんとの間に築いてください。
②小児科の主治医と相談してください(このあたりは小児科誌であるという事情もあると思われます)。治療の選択肢(認知行動療法や対人関係療法)について相談し、それから薬物療法について尋ねてください。
③お子さんとあなた自身のために、健康的な食習慣・睡眠リズム・運動習慣を維持するようにしてください。
④死にたい気持ちがないか尋ねてください(それは訊いて良いことなのです)。
⑤(自殺の手段として)銃器がないか探してください。
以上の内容の中で、例えば①についてですが、どうしても当初「なぜ? どうして?」が先に立ってしまい、原因追及や犯人探しの姿勢になることが見受けられます。
通常は因果関係の中で、問題解決をしてきた大人たちにとって当たり前のことではあるのですが、ほとんどの(機能性の)精神疾患治療にとって、この姿勢だけを執拗に保つことは有効ではなく、お互いの関係にとって、あるいは本当の意味での「問題解決」にとって悪影響ですらあります。
結局、最後までこの姿勢をやめられず、相手のことが理解できないことが多いので、容易なことではないのですが、まずは自分の「問題解決」の姿勢を問い直し、相手の心情の理解が中心になっているのか、目の前の相手のことを「認めて」いるのかを常に確認する必要があると思います。
記事の中で特に強調されているのは、特に「焦らない」ということです。
通常の作業的な感覚や仕事などで身につけてきた因果論や向上のための知識は、忘れる方が良い場合が多く存在します。
お子さんを本当に「みる」ということは想像以上に、時間のかかる困難な道筋です。
私たちが、日常生活で行っている表層的に「答えのようにみえるもの」を求めることは、一旦やめて、お子さんと「ともに生きる」ことを一からやり直すことが、まず求められるように思います。
抽象的なことを長々と書いてしまいましたが、自分も含めて子どもとの付き合い方は本当に難しい部分が多く、上記のようなことを思っても、やはり「するべき」ことは伝えなければならないし、良く言われる「そんなことじゃ社会の中で生きていけない」という事情についても説明する責任があるような気もするのです。
結局親としては、上記の概要のようなことを押さえるようにしながら、子どもを中心とする視点は保ちつつ、社会との関係維持に努めるバランサー(平衡維持装置)としての役割を担わざるを得ないのかも知れません。