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単剤か多剤併用か? 再入院率での検討


現在、統合失調症の治療指針では抗精神病薬の単剤による治療がすすめられており、複数の抗精神病薬を使用することは、一時的には症状の鎮静化のために必要であっても、長期的にみて望ましくないとされています。

実際の患者さんにとっての臨床的利益を考えたときに、どのような薬剤の使用方針が望ましいのかは意見が分かれるところですが、今回はフィンランドで再入院率を指標とした単剤と多剤(複数剤)治療の比較が行われている研究があったので、ご紹介します。

統合失調の成人における再入院について、抗精神病薬の多剤併用と単剤の比較

統合失調の成人62,250人について20年間のフォローアップを行い、単剤の時期と多剤の時期を比較しました。

①単剤・多剤を合わせて全体で最も再入院率が低くなっていたのはクロザピンとアリピプラゾールの併用療法でした。

②全体としては複数の薬剤を用いた場合の方が、単剤のみを使用した場合より再入院率が若干低くなっていました。

③単剤で最も再入院率が低くなっていたのはクロザピンの単剤療法でした(再入院率が低い治療法の10位以内に入っている単剤療法はクロザピンのみ)。

以上のようなことを考えると、少なくとも長期的な精神症状の安定性の面から考えて、一概に複数の抗精神病薬を使用する方針を否定するべきではないように思われます。

ただ、身体的影響や経済的負担など、他にも複数の薬剤を使用することについて懸念されることはあり、もちろん種類も量も最低限にするべきだとも考えます。

単純にガイドラインを絶対のものとして当てはめるのではなく、患者さんの精神症状や身体的状況を良くみたうえで、単剤・多剤(複数剤)を含めて深く検討したいと思いました。

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