top of page

せん妄に対する良い治療選択は?


認知症に合併したり、手術などの身体的侵襲、その後の集中治療室での治療など閉鎖的な環境変化等に続いて起こりやすい病態として「せん妄」が知られています。

ややぼーっとしようようになって辻褄の合わないことを言われたり、実際に存在しないものが見えたりすることも多く、また、時間帯や日によっても症状が大きく変化するのが特徴と言えます。

意識のはっきりしない状態で暴れてしまったり、食事がとれなくなったり、適切な治療や介護の支障になったりするので、適応に大きな問題が生じることもあります。

今日は、この「せん妄」治療に関して最も効果の高い治療選択肢や予防に関して調べた多数の論文の分析(メタアナリシス)についてご紹介します。

せん妄の治療と予防における効果と安全性の関連

9603人の参加者を含む58本のランダム化臨床試験の結果が分析の対象となりました。

以下のような結果が得られています。

①最もせん妄の治療効果の高い薬物はハロペリドール(抗精神病薬)とロラゼパム(抗不安薬)を組み合わせて行う方法でした。

②最も予防効果が高いと思われるのはラメルテオン(自然な睡眠を誘導するメラトニン受容体刺激薬)でした。

③いずれの薬物治療も重篤な身体症状の悪化などとは関連がありませんでした。

以上の内容から、結論としてせん妄治療・予防の組み合わせとして「ハロペリドール+ロラゼパム+ラメルテオン」が最も推奨されると述べられています。

もちろん、せん妄治療においては昼間の活動度を上げたり、昼夜のリズムのつきやすい環境設定にする等の非薬物療法が非常に大切ですが、即座の対応が必要な時に、薬物療法を考えざるを得ないこともあります。

そうした時に根拠に基づいた適切な対応ができるように現時点でのベストプラクティス(良い治療選択)についての知識を深めておきたいと思いました。

bottom of page