薬剤は効果を持つ薬剤の本体と“その他の部分”から成っています。
通常、「賦形剤」等と呼ばれることの多い部分ですが、乳糖やコーンスターチ、ポリエチレングリコール等、様々なものがあります。
役割として、タブレットやカプセルのように物理的に扱い易くしたり、吸収し易くしたり、安定性を増す等、薬効の本体部分を助けるための様々な機能を持っています。
量的には薬剤の半分以上(多い場合には99%)がこの“その他の部分”であることもあります。
今回はこの「賦形剤」と呼ばれる部分に注目した論文をご紹介します。
経口薬の“非活性”原料
処方頻度の高い薬剤を調査したところ、固形薬剤の44.82%に乳糖が、36.54%にコーンスターチ、36.03%にポリエチレングリコール、35.8%にポビドン、21.38%にカルボキシメチルセルロース、その他ピーナッツ油、小麦スターチ、人工着色料、甘味料が含まれていました。
論文中では、これらの物質は通常の量では人体に害がないものの、特に多剤を併用する場合にはアレルギー反応等への注意が必要であると述べられています。
実際に、近年、乳糖や化学着色料へのアレルギー反応の事例が報告されています。特に65歳以上の3分の1は5種類以上の薬剤を服用しており、特に「賦形剤」への注意が必要と言われます。
薬物療法の多剤傾向、服用者の高齢化を考えると、「賦形剤」をアレルゲンとする反応も考慮にいれた処方が望ましいと思われました。