Googleグラスという眼鏡型の情報端末をご存じでしょうか?
これをかけていると、外界を視野に入れながら、視覚や音声で必要な情報を提示してくれたりします。
今回はこのGoogleグラスに機器を取り付けて行う社会性のトレーニングがどのような効果をもたらすのかを調べた研究をご紹介します。
Effect of Wearable Digital Intervention for Improving Socialization in Children With Autism Spectrum Disorder A Randomized Clinical Trial
自閉スペクトラム症の子供に対する社会性向上のための装着可能なデジタル機器治療法の効果
このSuperpower Glass(SG)は、Googleグラスのフレームにつけて使う機器で、視界の顔や表情を認識し、音声で合図を送ったり、「嬉しい・悲しい・怒り・怖い・驚き・うんざり・まあまあ・中間」という感情理解についての手がかりを示してくれます。
平均8歳の71人の子どもが調査の対象となりました。通常の治療だけを行うグループとこの機器を用いた家庭トレーニングを追加したグループに振り分けて、社会性の指標(Vinelandの社会性の部分を抜き出した指標)を測定しました。
治療は、機器を家庭でつけてもらい、1回20分、週に4回のセッションを6週間続けてもらいました。
結果として、通常の治療に比較して、この機器を用いた治療を追加したグループでは4点程度の指標の改善(mean [SD] treatment impact, 4.58 [1.62]; P = .005)を認めました。これは概ね、専門的な行動療法を通常の治療に追加した場合の効果に匹敵するとのことです。
現在、アメリカでは発達障害に対してABAという行動療法の応用等、さまざまな試みが行われていますが、専門的な治療は高価な上に、受けられるようになるまでの期間が長く、手に入りにくい状況があります。
日本でも専門的な行動療法を行える環境は希少と言えます。現在よりも多くの治療選択肢が一般的になるとともに、家庭でできるこのような方法が普及し、選択肢が増えることが望ましいと思われました。