私が持っている版の帯には「企業研修や学校の授業で活用されている問題解決の定番書」とあります。
子どもの頃から「問題解決」について学ぶことの重要性を考え、基本的な考え方を平易な言葉で解説することを目的に書かれた本です。
そもそも問題解決とは何か?……これについて本文中で以下のように説明されています。
「問題解決とは、ひらたくいえば、『現状を正確に理解し』『問題の原因を見極め』『効果的な打ち手まで考え抜き』『実行する』です。」
本書では問題に対する態度を以下のように分類しています。
(i)「どうせどうせ子」ちゃん:「わたしなんてどうせダメよ」とあきらめてしまうタイプ。やってもムダだとふてくされたり、だれかのせいにしたりする。
(ii)「評論家」くん:「問題はこれだよ!」「あの人が悪いんだよ!」と自分なりの意見は持っていて、人にあれこれ指図はするけど、言いっぱなしで自分では何もやらない。
(iii)「気合いでゴー」くん:何に対してもやる気があって前向き。ただ、うまくいかないときでも、「ダメなのはやる気が足りないから」「考えるより行動しよう」と何でも精神論で片づけてしまう。
(iv)問題解決キッズ:常に具体的な目標を持っていて、問題が起きたことを嘆くのではなく、「どうすればよいか」を考え抜いて、すぐに実行します。
常にすべての人が上の4つのタイプのうちどれかに分類されて、それがずっと続くわけではないかもしれません。精神的に疲れているときに、いつも「問題解決キッズ」でいられるわけでもないと思われます。ただ、この本では問題に接したときの一つの態度として、「問題解決」を提案し、有効な「打ち手」を具体的に導きたい人たちのための道標を示しています。
道標についてもう少し具体的に触れると、本書では問題解決の様々な要素、つまり
①現状の把握のしかた
②原因の見極めかた
③効果的な打ち手(対処法)の考えかた
④実行のしかた
について様々道具(ツール)を用いて解説しています。
分解の木、マトリックス、はい・いいえの木、課題分析シート、仮説の木、よい点・悪い点リスト、評価軸×評価リスト等の問題解決の代表的ツールがありますが、解説を読んでみると、おおむね自分たちが意思決定を行うときに同様の考え方をしていることに気づきます。
それぞれの選択肢についてよい点や悪い点を考えて、よい点が多い選択肢に決定する……という「よい点・悪い点リスト」のような考え方は非常に馴染みやすいですが、逆に真新しいものでもなく、敢えて学ぶ必要があるのかという疑問が浮かぶかもしれません。
しかし、このような既に有効だと分かっている考え方をしっかりと道具として意識し、問題に直面したときにいつでも取り出せるようにできるか、この点に「問題解決」を学ぶことの大きな意義があるように思います。
この本はイラストを多用し、問題解決の考え方を具体例を用いて、やさしく(より本質的に)解説しており、問題解決の導入本としておすすめできる内容です。