アルコール依存症に陥っても禁酒することによって、脳は健康な状態にすぐに戻っていく……そのように楽観的に考えることは事実と異なっているかもしれません。
今回、ご紹介する研究では、禁酒後の脳変化は少なくとも短期間進行することが示されています。
アルコール乱用のヒトとラットにおける禁酒間もなくの脳白質微細白質構造変化
DTI(diffusion tensor imaging)という脳の微細な構造変化を調べることができる画像法を用いてアルコール乱用の後禁酒した91人について調査が行われました。
上記で述べたように禁酒して短期間(2~6週間)はアルコール乱用によると思われる変化は継続していました。(この変化がアルコールによるものであるかは、ラットを用いた実験で確認されました)
通常、禁酒をすればアルコールによる悪影響は少なくともストップするはずだと思われますが、実際にはアルコールを摂取していないにも関わらず一定期間進行するようです。
禁酒することに加えて、この期間における脳変化の進行を抑制する方法があれば、アルコール依存症の後遺症の軽減につながるのではないかと思われました。