児童虐待 父・母・子へのケアマニュアル~東京方式


東京都児童相談センターの実践に基づく、介入後のケアに関する指針と具体的内容を示したものです。

すでに報道等で知られていることではありますが、児童虐待のケースに接すると親子の分離や一時保護等の初期対応だけでは根本的な解決にならないことを痛感します。

本書の姿勢を示すために「1章 『父・母・子のケア~東京方式』とは」から抜粋させてください。

「……しかし、家族支援が進まなかったことを、手がなかったせいだけにすることはできない。当時は児童相談所の虐待対応は『鬼のような親からいたいけな子どもを引き離す』という『公権力の家族への介入』が優勢になり、子どもを救出して安全な場に移した時点で、一件落着という雰囲気になっていたことも否めない。虐待を行った親は、たとえすぐにはその行為の子どもへの子どもへの有害性を自覚できなかったとしても、支援により回復する可能性をもっており、『介入は虐待問題の解決の始まりである』という認識は、当時の勢いの中では打ち消されがちであった。」

上記のような思いから、2002年に東京都児童相談センターで虐待が生じた家族への治療的・教育的支援サービスである「父・母・子のケア~東京方式」が始められました。本書はその実際を十分理解できるようにグループ運営について詳しく書かれたものです。

「東京方式」の基本的な考え方を説明させてください。

①親(家族)は回復する力を持っている

⇒ほとんどの親は子どもとよい関係で暮らしたいと望んでおり、回復する力を有している。

②グループで人とのつながりを取り戻す

⇒グループで共通の悩みを持った仲間と出会い、人とのつながりを取り戻し、お互いにエンパワーしあう。

③子どもと親が自分自身とお互いに対して肯定的イメージを抱けるような支援を行う。

⇒親の回復を促し、親子の肯定的関係を再構築して、子どものこころに信頼感や自尊感情を育むことを目指す。

④虐待が生じた家族に対して総合的な治療的・教育的支援を行う

⇒父親グループ、母親グループ、ファミリー・ジョイント・グループ、家族カウンセリングと複数メニューを準備し、総合的な治療的・教育的支援を行う

④虐待対策の三次予防としての支援を行い、家族を地域の支援機関につなぐ

⇒担当児童相談所が地域で支援ネットワークを構築するとともに、家族が支援を受け入れられるように信頼関係を作っておくことが重要である。

上記のようにこのアプローチはグループによる人のつながりの力を重視しており、父親・母親・ファミリーと、きめ細やかなグループ形成がなされていることが特徴です。

本書は実際のグループ運営をどのように行うか、各グループごとに理論編→実践編という構成で書かれており、特に多数の事例を記述することで、具体的イメージをつかみ易くなっています。

10年近く前に出版された本ですが、まだ実践も、援助する側の認識さえ、追いついていない反省もこめて、何度も読み返したい本です。

#児童虐待

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