以前から、摂食障害の発症と免疫システムの機能異常との関連を示唆する知見がありました。
今回は摂食障害の免疫疾患説に関する知見を深めることを目的に行われた、摂食障害の発症と子ども時代の感染症について調べた研究をご紹介します。
Association of Exposure to Infections in Childhood With Risk of Eating Disorders in Adolescent Girls
子ども時代の感染と思春期における摂食障害リスクの関連
デンマークに住む52万人以上の思春期女子が調査の対象となりました。
このうち子ども時代に、入院を伴うような感染症の治療を行った場合には、
①神経性無食欲症(拒食症)の発症リスクは22%上昇し、②神経性大食症の発症リスクは35%上昇していました。
同様に、抗生剤の投与を伴うような感染症治療が行われた場合には①が23%、②が63%上昇していました。
上記のように、感染症治療の既往により摂食障害の発症リスクが上昇することが示唆されましたが、これは単なる相関データではあるので、本当に因果関係があるのかは分かりません。
摂食障害は原因について不明な点が多く、治療法も未確立な部分が大きい疾患です。
実際どのようなしくみで 重篤な感染症⇒免疫系の異常⇒摂食障害
という因果関係が成り立つのか、今後の研究が期待されます。