いわゆる“神秘体験”をされた方の中には、その後大きく精神状態や生活の方針が変化する場合があります。
人生に“意味”を見出すことが、うつや不安の軽減に役立つように、体験そのものが長く作用することもあるようです。
今回は、このような“神秘体験”の影響について調べた調査をご紹介します。
主観的な神との遭遇体験に関する調査:自然に起こる場合と幻覚剤で生じる場合との比較
4285人に質問紙による調査を行いました。そのうち、809人は幻覚剤を使用せず自然に生じたもので、1184人がシロシビン、1251人がLSD、435人がアヤワスカ(南米の伝統的幻覚剤)、606人がDMTという幻覚剤を使用していました。
それらのグループにより、体験で感じた存在の名称が、“神(自然発生の場合)”だったり、“究極の存在(幻覚剤の場合)”だったり、感じ方の相違はあるようですが、共通の結果として、自然発生した場合も、幻覚剤を用いた場合も、75%はその体験を人生の中で最も意味があり、精神的に意義深い体験として位置付けており、その後の人生をよりポジティブな方向に導いてくれたと報告しています。
上記のような体験、特に幻覚剤によってもたらされる体験には、一過性の夢のようなものというイメージがあると思われますが、この調査によれば、ずっと影響力の大きな実質的に意味の深い体験として働くことが多いようです。
論文の中でも述べられていますが、影響力の大きさを考えると、このような体験に導かれる個人の条件や、体験中に脳内でどのような変化が生じているのか、調べる意義が大きいように思われました。