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もりさわメンタルクリニック

強迫性障害に対する深部脳刺激法の効果


「強迫性障害(OCD)」では、自分でもばかばかしい、おかしいと思っている考え=強迫観念(例:「自分の手に細菌がついていて、それが原因で重い病気に罹ってしまう」)が頭から離れず、それを打ち消す行動(例:過剰な手洗い)を繰り返してしまいます(強迫行為)。そして、強迫観念⇒強迫行為による日常生活への影響が非常に大きくなった状態を「強迫性障害(OCD)」と呼びます。

抗うつ薬や抗不安薬等を用いた薬物療法や暴露反応妨害と言われる心理療法等が主として行われますが、生活への支障が大きく、不十分な結果しか得られないことがあります。

OCDでは皮質‐線条体‐視床‐皮質という脳回路の異常が指摘されており、これを改善する方法としてdeep transcranial magnetic stimulation (dTMS):深部経頭蓋磁気脳刺激法が注目されています。

今回はこのdTMSのOCDに対する効果を比較対照をつくり、経過まで追って確認した研究をご紹介します。

強迫性障害に対する深部経頭蓋磁気脳刺激法の有効性と安全性

99人のOCDの患者を6週間の期間中、dTMSによる脳刺激を行うグループと偽の刺激を行うグループとに分けました。

治療開始と終了時点、終了後1か月後の症状評価(YBOCSと言われる強迫性障害の代表的指標での評価)を行いました。

結果として、脳刺激を行ったグループで症状の改善が大きく、有効率が高くなっていました。具体的には 脳刺激 vs 非脳刺激の順で、症状点数の低下:6.6点 vs 3.0点 有効率:38.1% vs 11.1% 1か月後の有効率:45.2% vs 17.8% となっていました。

当初の症状改善が、経過を観察しても維持されており、dTMSによる治療効果は一時的なものではないようです。

十分に適切な薬物療法や心理療法を試みて不十分な反応しか得られなかったとき、dMTSのような有効な選択肢が早く選べる状況になることが望ましいと思われました。

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