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子どものADHD(注意欠陥多動障害)を診断する時に、「大人になったら落ち着いてくることも多いです」と説明させて頂くことがあります。
しかし、データも乏しく、実際どのくらいの割合で落ち着いてくるのか具体的に示しにくいところがあります。
また、大人になってからADHDの診断をされる方も増えていますが、そういう場合がADHD全体でどのくらいの割合なのかも明確にはなっていません。
今回は、少し前の論文になりますが、ADHDの長期にわたる経過について調べた研究をご紹介します。
青年期におけるADHDの持続性・寛解・出現
2000人以上が調査の対象となり、そのうち247人が子どもの時にADHDの診断基準を満たしていました。その後、18歳になってから、依然としてADHDの診断をされたのは54(21.9%)でした。また、元のADHDの症状が強いほど、診断の持続性が高いことが示されました。
さらに、対象者のうち166人が成人期にADHDの症状があると評価され、そのうち112人(67.5%)については子ども時代にいかなる診断基準もみたさない状態であったとのことです。
つまり、子ども時代のADHDの多くは成人に達する前に、基準を満たさない程度にまで軽減し、大人になってADHDの症状があると評価される場合の過半数が、子ども時代には症状がなかったということになります。
このADHDの不連続性は、論文中で指摘されているように、子どものADHDと大人のADHD(様の症状)では、そもそもしくみや原因が異なる可能性を示唆しているように思われます。
現在の診断基準では、同一の疾患として扱われている年代の異なる(表現としての)ADHDが、別の疾患である可能性もあるように考えられました。