心的外傷後ストレス障害(PTSD)については、治療法に関して議論が多く、薬物療法や心理療法の治療効果の差異についても様々な意見(結果)があります。
今回は、PTSDの治療に関して、薬物療法と心理療法、またはその組み合わせについて、短期・長期の結果を調べたメタアナリシス(複数の研究結果を統合し、さらに信頼性の高い結果を得ようとする研究)をご紹介します。
Comparative Efficacy and Acceptability of Pharmacological, Psychotherapeutic, and Combination Treatments in Adults With Posttraumatic Stress Disorder A Network Meta-analysis
PTSD治療における薬物療法・心理療法・それらの組み合わせの有効性と忍容性(治療の受容性)の比較
922人の参加者を含む12のランダム化された臨床試験が分析の対象となりました。
まず、短期的な治療終了までのところでは①薬物療法のみ ②心理療法のみ ③薬物療法と心理療法の組み合わせ の治療効果の差異ははっきりしませんでした。
しかし、長期的に追跡を行っている6の研究では、②と③の治療効果が勝っていました。
薬物療法と心理療法というくくり方も大雑把すぎて、細やかな洞察の得にくい結果かもしれません。
また、薬物療法 vs 心理療法という構図も、本来はメリットやデメリットを考えつつ、個別に組み合わせて行うものなので、乱暴すぎるような気もします。
しかし、疾患の性質から、あるいは上記の結果からも、PTSDの治療においては、非常に大まかに言って、何らかの“心理的アプローチ”が欠かせない という認識は間違っていないように思われました。