発達障害の有病率は年々増加していると言われます。
これが診断基準の変遷のためなのか、環境変化などの要因による実際の増加なのか、またはその両方なのか結論を出すことは困難です。
各国で状況は異なるかもしれませんが、今回はアメリカにおける2016年のデータから有病率や治療の概略をみてみましょう。
アメリカにおける2016年の自閉症スペクトラム障害に関する有病率や治療様式
2016年の子どもの健康に関するアメリカ全土の調査から、43032人(3~17歳)に関するデータが分析されました。
まず、自閉症スペクトラム障害について、今まで2.50%だったのが2016年では2.79%となっており、比較的高い有病率となっています。
また、そのうち43.3%が行動療法のみ、6.9%が薬物療法のみ、20.3%が両方の治療を受けていますが、残りのおよそ30%の子どもたちは何の治療も受けていないことになります。
30%は治療を受ける必要のない軽症である可能性もありますが、論文中では適切なケアに接する機会が減少している可能性について指摘しています。
ところで、日本で同様の調査が行われたとしたら、(私が十分に把握していない可能性もありますが)行動療法の実施割合はずっと低いものになるのではないでしょうか。
海外での状況が常に望ましいわけではありませんが、日本では治療の選択肢としての専門的行動療法を組織的に行う態勢が比較的貧弱である点は改善すべきであると思われました。