
運動習慣と認知症リスクについての研究は多く、中年期や高齢になってからでも定期的な運動を行うことによって認知症リスクは低下すると言われています。
今回は精神的活動(読書、ゲーム、社会参加、コンピューターの使用、工作)を行うことによって、どのように認知症リスクが変化するのかを調べた研究をご紹介します。
精神活動の量・質と軽度認知障害の発症リスク
アメリカ、ミネソタ州に住む70歳以上の認知的には健常な2000人が調査の対象となりました。
5年間の経過を追ったところ
①社会参加とゲームは中年期や高齢期の両方において、認知症の発症リスクを低下させていました。(0.80倍)
②コンピューターの使用は時期によって効果は異なりますが、やはり発症リスクを低下させていました。(中年期のみ:0.52倍、高齢期のみ:0.70倍、中年期・高齢期両方:0.63倍)
③工作は高齢期に実施した場合のみに発症リスクを低下させていました。(0.58倍)
④精神活動の種類数も、発症リスクの低下と関連していました。(2種類:0.72倍、3種類:0.55倍、4種類:0.44倍、5種類:0.57倍)
上記のように多くの精神活動は認知症の発症リスクを低下させ、その種類や数、タイミングによって、効果が異なることが示されました。
大まかに言えば、中年期以降、体も頭も使う方が認知症にかかる可能性が低下すると言えそうですが、それらをどのように組み合わせ無理なく行うのが良いかは、個人の好みや価値観によっても左右されるので、画一的な勧め方をするのは望ましくないように思われました。