新しい国際疾病分類であるICD-11(International Classification of Diseases)について、患者の体験を十分反映しているか疑問が提示されています。
経験に関する知識を用いて精神疾患診断の理解と向上を図る:疾病分類(ICD-1)に関する質的研究
イギリス、アメリカ、インドの当事者(統合失調症、双極性感情障害Ⅰ型、うつ病、全般性不安障害)157人が参加しました。
35のグループを作り、ICD-11の診断基準に関する記載が、自分たちの内的体験と一致しているか話し合われました。
質的な研究なので、定量的な結果は出ませんが、ICDの診断基準について内的体験との不一致が多く見出されました。
例えば、当事者としては重要な感覚として、そう状態における生産性の高まり、統合失調における侵入され、疎外され、無力化される感覚等について、内的な体験をすくい取れていないと指摘されています。
他にも、全般性不安障害において痛みや怒りの要素が重視されていないこと、うつ病において不安の要素が軽視されていることが示されました。
もちろん、すべての方たちの内部での体験を診断基準に盛り込むことは困難でしょう。
しかし、これらの診断基準をもとに問診や検査などが行われることを考えると、可能な限り当事者の体験に沿った内容(言い回し)になっていることが望ましいと思われました。