職業に関連した著しい気分や意欲の低下、継続的な疲労感、離人(現実がありありと感じられない状態)、有効感の低下は、「燃え尽き症候群」と表現されることがあります。
特に、医学生(アメリカでは医療従事者)の「燃え尽き症候群」が問題となっており、今回はこの症状と異人種への患者対応が関連するという内容の論文をご紹介します。
Association of Racial Bias With Burnout Among Resident Physicians 人種偏見とレジデント(医療従事者)の燃え尽きとの関連
非黒人の3392人(男性49.9%)が調査の対象となりました。
レジデント2年目と3年目に関して、燃え尽きの症状(Maslach Burnout Inventoryで測定)と人種対応の偏向を測定する指標として対人態度の指標(feeling thermometer:0から100で対応の好悪を示すもの)が用いられました。
結果として、燃え尽きの症状が強いほど、人種対応の偏向(暗に示されるものも、表面的にも明らかなものも含む)が大きくなることが示されました。
サービス従事者のうつ症状等、精神状態の悪化がサービス低下の原因になることは推定可能と思われます。
しかし、医療の領域でこのような質の低下を認めると、医療や医療機関全体の信頼性の低下にもつながり、深刻な事態を招きかねません。
働く個人々での意識も大切であると思われますが、患者さんの利益のためにも燃え尽きを生じない医療現場になるよう、労働環境の改善も必要であると思われました。