
脳が非対照性(大きさが左右で異なる等、構造上の特徴が右脳と左脳で異なっていること)が精神疾患発症のリスクであると言われることがあります。
今日は、脳の左右差とうつ病の発症について、関連を調べた研究をご紹介します。
うつ病で脳の構造的非対称性に関する変化は生じていない
2256人のうつ病患者と3504人の健常者とでの皮質の厚さや脳表面の測定値が34領域に関して比較されました。
また、2540人のうつ病患者と4230人の健常者で脳の皮質下(皮質よりも深い部分)8領域の体積が比較されました。
いずれの領域においても、うつ病の有無や病期(急性期や慢性期)、薬物の使用、初発か再発か、発症の年齢等による測定値の明らかな相違は認められませんでした。
つまり、脳の非対称性とうつ病の存在や性質は無関係であると考えられました。
様々な疾患について、非対称性との関連が示唆されていますが、このような大きな規模の研究でうつ病に関する関連性が否定されると、少なくともうつ病に関しては、脳の大きな構造的相違を見出すのは今後も難しい可能性が高いと考えられました。