発達障害における“補償的方法”がもたらす様々な結果


ある能力の低下に基づき、生活上の支障があったときに、それを補う方法を工夫することを“Compensatory strategies コンペンサトリー・ストラテジー:補償的方法(試訳)”と言います。

例えば、記憶力の低下を補うためにメモや写真等の“外部記憶”やリマインダー機能を用いて、日常生活への支障を軽減することなどが考えられます。

今回は、この「補償的方法」がもたらす結果の様々な側面を質的に分析した研究をご紹介します。

Compensatory strategies below the behavioural surface in autism: a qualitative study

自閉症における行動の裏に隠れた「補償的方法」、その質的研究

ソーシャルメディア等を介して、136人(18歳以上)から回答を得ました。

このうち、58人が正式に診断を受け、その他は自閉的な傾向を意識していても診断を受けていない人たち等でした。

まず、「補償的方法」は大きく二つに分けられ、第一の「深部の(内部的)方法」として、計画性を高めたり、会話を予行練習したり、適応を促進するため敢えて自分のやり方から離れるといった戦略がみられました。第二のより「浅い(外面的な)方法」として他者のしぐさ等、行動を真似したりといったやり方がありました。

次に社会的な行動における様々な「補償的方法」として、社会的な行動を知的にパターンとして学ぶこと(アイコンタクトはするものだと覚える等)、社会的な感じの良さを模倣する(興味はなくても他者にはその人に関する質問をする等)、社会的な場面でのルールの変更を知的に意識することなどがあげられていました。

しかし、これらの戦略は全ての状況に当てはまるわけではなく、柔軟性やスピードに欠けるという点が述べられ、有効に機能しないことも多いということが示されました。

また、これらの「補償的方法」を用いることにより、「普通に」見えたとしても、内部では大きな苦痛を伴っているという事実が残るということが指摘されていました。

「補償的方法」が成功すればするほど、かえってこの外面と内面とのギャップが大きくなり、苦しみは大きくなるのではないかということも考えられます。

以上のように「補償的方法」は一概に上手くなれば、適応がすすんで良好な結果をもたらすというものではなく、内面的な苦痛にも配慮して、援助を講じていく必要があると思われました。

#発達障害 #自閉症スペクトラム障害

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