がん患者は一般人口よりもずっと高い確率でうつ病にかかりやすいことが指摘されています。
また、薬剤について処方された通りに規則正しく薬剤を服用できるかについて「薬剤コンプライアンス」と言い、治療方針に積極的に関わる要素まで入れると「アドヒアランス」と表現されることがあります。
つまり、細かいニュアンスを別にすれば、(特にここでの意味合いとして)「アドヒアランス」とは、どれくらい薬をしっかりと処方を守って服用するかを示す言葉と言えます。
抗うつ薬に関するアドヒアランスは、がん患者の早期死亡率の減少と関連する
イスラエルにおける研究で、42075人のがんに罹患した患者が対象となり、抗うつ薬のアドヒアランスと死亡率との関連が調査されました。
結果として、抗うつ薬に関するアドヒアランスが20%以上の場合には、すべての原因による死亡率の低下が明らかであり、特にアドヒアランスが50~80%のグループでは調査期間の4年間における死亡率が23%低下していました。
このような結果から、抗うつ薬を処方通りにきちんと服用するという、高アドヒアランスが直接的にがん患者の死亡率を低下させたと考えることは早計であるかもしれません。
しかし、少なくとも何らかの要素が介在して、高アドヒアランスに代表される個人の傾向が死亡率を低下させた可能性が高く、より詳しい分析と追加の研究が必要な結果であると思われました。