ディープ・ラーニングとは人間が遂行する様々な行動や認知過程を機械が学習する手法の一つで、最近のAI進化を支える技術と言われています。
人間の神経細胞の構造を真似ているところに特徴があり、幾層にもわたるネットワークがそれぞれ自動的に学習を行うことにより、今までの手法ではあり得なかった認識精度を発揮します。
今日はディープ・ラーニングを用いて認識した認知行動療法の有効な要素が、どのように実際の臨床的結果と関連したかを調べた研究をご紹介します。
心理療法の内容と臨床的結果の関連をディープ・ラーニングを用いて定量化する
約90,000時間のセラピーがディープ・ラーニングの手法で分析され、認知行動療法(CBT)の変化を促す手法が同定されました。
つぎに、14899人(平均34.8歳)が調査の対象となり、ディープ・ラーニングによるCBTの有効な要素が実際の症状改善とどのように関連しているのか分析されました。
結果として、うつや不安の指標の減少とCBTの有効な要素は関連しており、また療法的ではないと判定された内容が多い場合には改善も少なくなっていました。
客観的にセラピーの内容を有効であるか評価するのは今までの手法では困難とされてきましたが、今回用いたディープ・ラーニングによると、臨床的結果と一致する評価が可能であることが示されました。
今まで定量化が困難であった心理療法の定量的分析が行えるようになることで、(心理療法をこのような手法で評価することに多くの議論が予想されますが)全体としてセラピーの質を向上させる可能性があると思われました。