世界的に精神疾患に関するセラピー(心理療法)は、それを必要とする患者数に対して、専門性の高いセラピストの数が少なく、受療することが困難と言われています。
今回は、この問題を少しでも改善するために、携帯端末によるセラピーが役立たないかを調べた研究をご紹介します。
統合失調症または双極性感情障害と診断された225人が調査の対象となり、以下の3つのグループに分けられました。
①1回の診療+携帯端末による認知行動療法の継続
②1回の診療+携帯端末によるセルフモニタリング(自身の症状を観察する方法)
③通常の継続的診療
24週間の経過観察で①及び②は、③と症状の改善効果に大差がないことが分かりました。
特に①に関しては、②よりも地域における生活機能において優れ、③に匹敵する効果が示されました。
もちろん、すべての患者さんたちに専門性の高い対人的セラピーが提供されることが理想的とは思われます。
しかし、それがどうしても困難であるとき、アプリケーションによるセラピーを行うことはその代替として十分に検討する価値のある選択肢であると思われました。