子ども時代の肉体的/精神的虐待や機能不全を起こした家庭環境等の逆境体験が、成人後のうつ病等を含む精神衛生の悪化をもたらすことが指摘されています。
今回は、逆に子ども時代のポジティブな体験が、成人後の精神衛生にどのような影響を与えるのか調べた研究をご紹介します。
子ども時代のポジティブな体験と成人後の精神・対人的健康度
アメリカ、ウィスコンシン州全土に渡って、18以上の成人6188人に電話アンケートを行いデータが収集されました。
結果として子ども時代のポジティブな体験は、明らかに成人後の精神衛生を向上させ、援助をもたらす対人関係を増加させていました。
例えば、子ども時代のポジティブな体験が多い場合は、うつ病や精神状態の悪化が、通常よりも72%低下していました。
そして、上記のような傾向は逆境体験があった場合でも一貫していました。
具体的に子ども時代のポジティブな体験をあげると以下のようになります。
①家族と心情について語り合えること
②つらいときに家族が味方になってくれたと感じたこと
③地域の伝統行事に参加して楽しんだこと
④高校に所属感を持てたこと
⑤友人からの助けを感じたこと
⑥家の大人から守られ、安全に感じていたこと
上記のような感覚は、(同時か別の時期に、逆境体験があった場合でも)精神状態を長期的に安定させる効果があるようです。
逆境体験を軽減する方向と同時に、少しでもポジティブな体験を増大させる援助も大切であると感じました。