うつ病の際、睡眠状況が悪化するのが一般的ではありますが、自殺願望(希死念慮)との関連は定かではありません。
眠れない状況でネガティブな思考が深まるのはイメージとしてはあり得るのかもしれませんが、実際に睡眠の状況を改善したら、希死念慮は軽くなるのでしょうか? 今回は、このような疑問に答えようとした研究をご紹介します。
不眠治療による希死念慮の減少について
症状として不眠と希死念慮を認めるうつ病患者(18~65歳、103人)が調査の対象となり、睡眠薬(ゾルピデムCR)を用いるグループと偽薬を用いるグループに振り分けられました。
結果として、用いた2つの希死念慮の指標のうち、1つでは明らかな(統計的に意味のある)症状の改善を認めていました。
検討の結果、睡眠薬による治療は全般的に希死念慮を改善するというより、不眠の著しいうつにおいては、希死念慮減少の効果が大きいと考えられました。
上記の結果は当然と思える内容であるかもしれませんが、不眠が強い場合には希死念慮との関連も考慮に入れて、症状の軽減に努める必要性があると再確認しました。