子ども時代の貧困によって、成人以後の精神疾患が増加する等、多くの点で経済状況が精神状態に与える影響が指摘されて来ました。
20年の収入変化と中年期における脳の健康状態との関係
心臓疾患のリスクを調べたときのデータが用いられた研究で、23~25歳の3,287人が調査の対象となりました。
収入の減少が大きいと判断する基準として、前年と比較して25%以上の減少があった場合を考えました。
知的機能検査と画像検査が分析され、上記のような大きな収入減少が生じた場合では、長期的な知的機能低下(処理速度と遂行機能において顕著)を認めました。
また、画像上でも、減収が大きいほど、脳全体・白質全体の微小構造の変化も大きいことが示されました。
以上のように、経済上の苦境は何らかの環境の変化を通して、客観的に測定可能な知的機能や脳構造の変化をもたらすことがあるようです。当然のことかもしれませんが、精神障害を予防する上で社会経済的な視点が重要であると再認識しました。