以前から妊娠中の感染症が、出生児の精神疾患発症に関与しているのではないかという指摘がありました。
今回は、長年の追跡による前向きの研究で、感染症の重症度とも関連性を調べた研究をご紹介します。
妊娠中の細菌感染と出生児の精神病発症リスク:感染の重症度と性別の影響
1959年から1966年までの間に15,421人の妊婦が登録され、その後40年間の追跡調査が行われました。
結果として、以下のような内容が示されました。
①妊娠中の細菌感染と出生児のその後の精神病発症リスクはあきらかな関連がありました(細菌感染があった場合はリスクが1.8倍に上昇していました)
②妊娠中の感染が全身性だった場合には局所の感染に比べて、リスクがおよそ2倍に上昇していました(発症のリスクについて、局所1.6⇒全身2.9)
③同じように妊娠中の感染があった場合でも、男性の方が女性よりも精神病を発症しやすいことが分かりました
以上のように、後から記憶に頼って調査する方法よりも、信頼性の高い長期前向きの手法で、精神病の発症と妊娠中の感染との関連が示されました。
繰り返し証拠が示されていることではありますが、精神疾患の予防は出生前から取り組む必要があると再認識しました。