脳深部刺激法の長期的治療効果
- もりさわメンタルクリニック
- 2019年10月12日
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脳深部刺激法 Deep brain stimulationについては、以前から認知行動療法等の心理療法や抗うつ薬等の薬物療法で効果のないうつ病に関しても一定の効果を持つことが示されています。
今回は、特に刺激場所として有効とされている脳梁下の部位に対する脳深部刺激法 Deep brain stimulation of the subcallosal cingulate (SCC DBS)に関する長期的効果について調べた研究をご紹介します。
治療抵抗性うつ病に対するSCC DBSの長期的治療効果
4~8年のSCC DBSを受けた28人のうつ病あるいはⅡ型双極性障害の患者さんが調査の対象となりました。
結果として2~8年の経過観察期間で、反応(意味のある効果が認められた)が50%以上、寛解(症状が大きく軽減し、生活に大きな支障を認めなくなった)は30%以上で維持されていました。
また、そのうつ21%は治療の初年度から継続して治療に対する反応を認めていました。
長期的経過の中で、状態は維持されていなくても多くの患者で明らかな反応を認めており、副作用がほとんどないことや、調査の対象者が他の治療に抵抗性であったことを考えると、SCC DBSは長期的予後を検討した上でも、抗うつ薬等で効果の得られなかった患者さんにとって有益な治療選択肢であると考えられました。