今回紹介する論文の導入部分によれば、3ヶ月から5歳までの子どもにおける「熱性けいれん」の有病率は2~5%ですが、通常単発の「熱性けいれん」はその後の生活に大きな影響を及ぼさないと説明されます。
しかし、単発ではない繰り返される「熱性けいれん」には注意が必要であると言われており、今回は精神疾患の発症、てんかんへの進展、死亡につながるか否かに注目した論文について説明させてください。
Evaluation of Long-term Risk of Epilepsy, Psychiatric Disorders, and Mortality Among Children With Recurrent Febrile Seizures A National Cohort Study in Denmark
反復性熱性けいれんのある子どもにおける長期的なてんかん、精神障害、死亡率評価
デンマークにおける研究で、3ヶ月から5歳の2,103,232人の子どもが調査の対象となり、そのうち3.6%が初発の熱性けいれんの診断を受けました。
3回熱性けいれんを繰り返して入院した場合を反復性熱性けいれんと考えると
①精神疾患発症については17.2%(出生時)⇒29.1%(反復性熱性けいれん)
②てんかんへの進展については同様に2.2%⇒15.8%
のようなリスク上昇がみとめられ、死亡率については反復性熱性けいれんのみでは上昇はなく、てんかんへの進展がみられたときの上昇が示されました。
以上のように通常は大きな支障がないと考えられている年少の子どもにおける「熱性けいれん」ですが、繰り返される場合には、精神疾患を含む様々な病態について注意が必要であると考えられました。