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高血圧の薬剤(ARB)と自殺との関連

もりさわメンタルクリニック

高血圧の薬剤のうち、ベータ遮断薬やカルシウム拮抗薬は以前からうつ症状との関連が指摘されています。

今回は、現在非常に頻用されている高血圧の(心臓や腎臓に対する保護作用も期待される)薬剤であるARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)が、同じようにレニンーアンジオテンシン系という体の中の仕組みに作用する薬剤のACEI(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)と比較して、どのように自殺との関連に差があるかを調べた研究を紹介します。

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、自殺の関連

964人の自殺例と3856人の対照例(両方合わせた年齢の中央値は76歳)において、ACEIとARBの使用率を比較しました。

結果として、ARBの方がACEIよりも、1.6倍自殺のリスクが高いことが示されました。

しかし、元々死亡者数のなかでも比較的少ない自殺者の中で、ARBとACEIの使用率を比較することにどれほどの意味があるのか、または同じレニンーアンジオテンシン系に作用する薬剤どうしでなぜ差異が生じるのかも不明です。

まだ、ARBの広範な有効性を考えると、これによって臨床的判断まで変える必要はない結果と思われますが、今後さらにどのような証拠が現れるのか、メジャーな薬剤であるだけに注目されるところです。

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