
認知症の高齢者では、認知機能の低下のない場合よりもずっと高率に入院治療が必要になることは臨床的に実感されるところです。
しかし、さらに認知症高齢者の中でどのような条件がそろった時に、入院が発生しやすいのかについて、整理して検討された資料は乏しい状態です。
今回は、認知症高齢者の入院が発生するリスクを予測するための研究をご紹介します。
地域に住む65歳以上の認知症高齢者1,793,783人について調べました。
以下の項目について調査しました。
①年齢やその他の人口統計学的な要素
②外来患者か、救急受診や入院治療の既往
③身体的あるいは精神科的診断
④向精神薬の追加(や用量増加)を含む処方変更
上記のような要素によって層化する(定量的に評価しグループ分けする)ことによって入院治療のリスクを概ね予測できることが分かりました。
例えば、
①より高齢で
②入院の既往や救急受診の回数が多く
③身体疾患や精神科的合併症もあり
④最近向精神薬の追加がなされたような場合
は入院が必要になるような病状の悪化が予想される
……というような、今までは漠然と意識されていたことが、点数化され、客観的に評価可能となることは、病状の悪化を予防する上で大きなメリットがあると考えられました。