
多くの遺伝子の情報を集めてスコア化することによってある病気への罹りやすさを予測する技術を“多遺伝子リスクスコア”と呼びます。
この遺伝子が変異しているとこの病気になりますという、確かな情報とは異なり、確率的な予測にとどまりますが、今後生じやすい危険を予測する上では参考になる数値です。
今回は“多遺伝子リスクスコア:polygenic risk score (PRS)”による情報を、通常のリスク評価に加えることで、リスクの可能性予測がどのように変わるかを調べた研究をご紹介します。
多遺伝子リスクスコアのリスク評価に関する有効性
まず、通常の精神病発症のリスク計算として、人生における大きなストレスイベント、心的外傷、思考や会話の解体、情報処理速度、精神病の家族歴に関する評価が行われました。
これらの評価に、多遺伝子リスクスコアによる評価を加えると、それまでの評価方法に比較して、より正確に発症リスクを予測できることが分かりました。
どの程度の貢献があるか、もう少し詳しく述べると“思考の解体ほどではないが、他の評価基準と同程度”には役に立つレベルでした。
特にヨーロッパ圏の人たちでは多遺伝子リスクスコアは精神病発症リスクとの関連が深く、参考になりやすいという結果でした。
人種によっても、有効性に違いがあり、扱いが難しい情報であるかもしれませんが、今後さらにリスク評価の確度が向上すれば、予防に大きく貢献する情報であると考えられました。