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妊娠中や出産後のリチウム使用による影響

もりさわメンタルクリニック

双極性障害等の躁状態が出現する病態に使用される薬剤の一つとして金属のリチウムがあります。

血中濃度の管理さえ行えば比較的安全性の高い薬剤として知られていますが、中毒や腎障害等の副作用が存在し、注意が必要です。

今回は特に妊娠に関連した危険性について調べた研究(メタアナリシス)をご紹介します。

妊娠中や産後におけるリチウム使用の影響

29の論文が分析されましたが、そのうち質の高いものは20で、量的な統合が可能だったのは13の論文でした。

結果をみると、特に妊娠の初期にリチウムを使用していた場合には先天的な形成異常が多く(1.81倍)、中でも心臓の形成異常については1.86倍となっていました。

また、妊娠初期の使用については自然流産とも関連しており、妊娠関連の影響が認められました。

しかし、これらの形成異常の出現はリチウムの使用量によっても影響を受け、また、リチウムを継続していないと明らかに症状再燃のリスクが高まることも示されており、一概に、妊娠中は必ずリチウムの使用を控えるようにするべきであるとも言い難い結果となっています。

論文中では、できれば症状が寛解した時期に最低限の用量でリチウム治療を行うことがすすめられていますが、特に不安定な病状のときの計画していない妊娠のときには方針の決定がしにくいことが考えられました。

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