以前から統合失調症では感情を認識する能力が低下することが指摘されてきました。
特に今回は感情を認識する能力の異常が、精神病発症のリスクが高い集団において、その後の経過に与える影響や脳の局所の構造的変化と関連するか調べた研究をご紹介します。
精神病発症リスクが高い集団における感情処理や神経学的局所変化と予後悪化の関連
精神病発症リスク(症状や家族歴等から評価)の高い213人と、比較のための健常者52人が調査の対象となりました。
顔の表情に現れた感情を読み取る課題やMRI画像、12ヶ月後の精神症状評価による発症の判定、全体的な機能評価が行われました。
結果として、最初の時点での怒り感情の読み取りにおける異常が、脳の内側前頭前野や海馬と呼ばれる領域の体積変化や12ヶ月後の全般的機能低下と関連していました。
つまり、感情表現に関する処理を判断するテストは、脳の体積と関連し、その後の社会的機能や生活能力の予測に使用できる可能性が示されました。
上記のように、より正確に経過の予測を行う様々な方法が考案され、ハイリスクグループを認識することで、よりきめ細かい治療方針の立案や検討が可能になることが望まれます。