昨日は“ラナベスタット”という新薬の効果に関する試験について、その結果をご紹介しました。
今回は、ミノサイクリンという古くから使われている抗生剤を抗炎症効果を期待して、長期に投与した結果についてご紹介します。
Minocycline at 2 Different Dosages vs Placebo for Patients With Mild Alzheimer Disease A Randomized Clinical Trial
ミノサイクリンの2種類の用量に関する早期アルツハイマー病に対する効果
イングランドとスコットランドにおける研究で、544人の早期アルツハイマー病(sMMSEのスコア平均26.4、平均年齢74.3歳)を対象としました。
以前の動物モデルを用いた研究ではミノサイクリン投与によって、アルツハイマー病の主要な部分であるβ‐アミロイド蓄積による影響を軽減することができていました。
しかし、今回の試験ではまず、ミノサイクリンの400mg投与、200㎎投与、偽薬投与の3つのグループの中で、400㎎投与は副作用(消化器症状、皮膚症状、眩暈など)が多く、28.8%しか2年の試験を完遂することができませんでした。
そして、実際に服用期間を守れたグループでも、用量に限らず明らかな認知機能低下の軽減を認めず、ミノサイクリンには早期アルツハイマー病の臨床経過を変える効果はないと考えられました。
昨日の“ラナベスタット”の場合も効果を認めず、なかなか明るいニュースに乏しい感がありますが、アルツハイマー病に対する治療薬発見は、今日の医学における最重要テーマの一つであり、今後も新しい発見が期待されます。