
“ホスピス”について、正しい定義については精神的側面や歴史も考慮した上で説明されることがありますが、一般的には「がん等の終末期を支える医療を亡くなるまで行う入院施設」というイメージがあります。
しかし、そのようなイメージに反して、中にはホスピスから退院される方もいます。
今回は、ホスピスから生きて退院する場合の背景について調べた論文をご紹介します。
生存した状態でのホスピス退院
様々な文献を分析して広範な知見を得ようとする“システマティックレビュー”と言われる手法に基づく論文です。
このテーマに関する44の論文が見つかりましたが、分析に含める基準を満たしたのは13のみでした。
これらの内容を統合したところ、生存退院の確率は研究によって5~23%と大きな開きがありました。
患者さんの条件としては、診断・合併症・性別・人種などに関して、非常に広範で一定の傾向はありませんでした。
ホスピス側の条件としては、営利目的であったり、田園地域が比較的多いという傾向がありました。
二つの論文だけでしたが、患者さんと家族の立場に踏み込んだものがあり、ホスピスの喪失を、困難の中に投げ出された体験としています。
それぞれの退院に色々な事情があると思われますが、患者さんの症状から考えてより適切なケアがある場合や、患者さんや家族の意向が現在の場所とは違う方向性を求めている場合など、“放出”ではない行き先がある程度定まった状態での退院が望ましと思われました。