
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件で支援にあたった人たちの中で、早期の認知能力低下を示している例があります。
今回はこのような9.11の支援者に認知能力低下を認める場合に脳の構造的変化があるのかを調べた研究をご紹介します。
認知機能低下を伴うワールドトレードセンターの支援者における脳萎縮
ワールドトレードセンターで支援に当たった99人(認知機能低下あり:48人、平均55.8歳)が研究の対象となりました。
対象者にMRI検査を行い、脳の34の領域に関して構造的変化を調べました。
結果として、以下のような内容が示されました。
①全体の平均と21の領域に関する脳皮質の厚さが認知機能低下がある場合には、ない場合に比べて薄くなっていました。
②記憶を司る領域として知られる嗅内皮質や側頭葉で、今回研究対象となった支援者(認知機能低下がある場合もない場合も含む)は、一般の平均よりも皮質厚が薄くなっていました。
つまり、支援者のうち認知機能低下がある場合には、同じ支援者の認知機能低下がない場合よりも脳が萎縮しており、支援者全体でも一般よりは脳萎縮を認めるということのようです。
どのようなしくみによるものかは不明ですが、心的外傷体験による脳への影響が懸念される内容でした。
#認知症 #PTSD
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