うつ病や双極性感情障害・統合失調症等の精神疾患と、認知機能低下との関連性が指摘されてきました。
今回は、複数の遺伝子からADHDの傾向を示す多遺伝子スコアと、アルツハイマー病による認知機能低下との関連性を調べた研究をご紹介します。
ADHDの遺伝的リスクがアルツハイマー病の認知機能低下と進行を予測する
ADHD診断や認知機能低下のない55~90歳の212人(平均73.1人、54.7%が女性)が研究に参加しました。
遺伝子情報を入手し、ADHDリスク(多遺伝子スコア)を調べ、6年の経過で認知機能との関連を比較しました。
結果として、以下の内容が示されました。
①高いADHDの多遺伝子スコアは、6年の経過で調べた認知機能の低下と関連していました。
②同様にADHD遺伝子スコアはアルツハイマー病のマーカー(p-タウ蛋白181やアミロイドβの蓄積)と関連していました。
つまり、“ADHD診断がついていなくても、ADHD遺伝子スコアが高いとアルツハイマー病に関連した認知機能低下が生じることが多くなるかもしれない”と言えそうです。
どのような因果関係や共通の要素があるのか不明ですが、臨床的にADHDと診断されている場合、通常よりも早期に現れる認知機能の低下に注意が必要であると考えられました。
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