◎要約:『ADHDの診断後に治療薬の処方が開始された場合のほうが、死亡率(特に不自然死)が低下する可能性がある』

ADHD治療薬については不注意・多動・衝動性の改善をもたらすメリットと、交感神経の賦活作用による循環器系の副作用等(この点は議論もあります)の健康上のデメリットが指摘されてきました。
今回は、幅広い年代でADHD治療薬が処方された場合の死亡率への影響を調べた研究をご紹介します。
ADHD Pharmacotherapy and Mortality in Individuals With ADHD
ADHD治療薬と死亡率
スウェーデンにおける研究で、ADHD診断を受けた6~64歳の148,578人(診断時の平均年齢17.4歳)が対象となりました。
診断の後、ADHD治療薬の内服が開始されたか否かで、その後2年間の死亡率を比較しています。
結果として、以下の内容が示されました。
・処方が開始された場合には死亡率全体が低下(ハザード比0.79倍)しており、特に事故、自殺、中毒等を含む不自然死の低下が大きく(ハザード比0.75倍)となっていました。
・自然死(身体的疾患によるもの等)について一定の低下は認めましたが、統計的に明らかではありませんでした(0.86倍)。
ADHD治療薬開始による死亡率の低下が、症状の軽減によるものなのか、仲介する要素によるものなのかは不明ですが、死亡につながるイベントを避けるような何らかの影響があるのかもしれません。
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