PTSDに対する薬物療法では、一部の抗うつ薬(SSRI)が有効と言われていますが、効果の実感が得られない場合も多く経験します。
今回は、C型肝炎の治療薬のうち、PTSDに対して大きな効果のあるものが存在するかもしれないという内容の研究をご紹介します。
Comparative Effectiveness of Direct-Acting Antivirals for Posttraumatic Stress Disorder in Veterans Affairs Patients With Hepatitis C Virus Infection
C型肝炎に罹患している退役軍人における抗ウィルス薬のPTSDに対する有効性比較
アメリカの退役軍人を対象とした研究で、C型肝炎を合併したPTSD患者250人が参加しました。
ある抗ウィルス薬の組み合わせ(glecaprevir/pibrentasvir )で治療した場合と、他の組み合わせで治療した場合でPTSDの経過が異なるのか調べました。
結果として、以下のことが示されました。
・C型肝炎については、すべての治療薬で治療の効果は同等でした。
・PTSDについては特定の抗ウィルス薬の組み合わせ(glecaprevir/pibrentasvir )のみが他の治療薬よりも大きく経過が異なっており、最も大きな差異を認めたものでは、PTSDチェックリストという尺度の得点で2倍以上の開きが生じていました。
要約:『C型肝炎に有効な抗ウィルス薬のうち、肝炎に対する治療効果とは関係がなく、PTSDに有効なものが存在するかもしれない』
このように他の身体疾患の治療薬で、精神疾患に有効だった例は多く存在しています。
今の時点ですぐに使用がすすめられるものではありませんが、今後の検証が期待される内容でした。
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