COVID-19では特に初期から嗅覚障害が起こる例のあることが指摘されてきました。
今回は、この嗅覚障害と嗅覚を司る神経の病理や微小血管の変化を調べた研究をご紹介します。
COVID-19の患者における嗅覚神経組織の変性と微小血管障害の死後評価
COVID-19で亡くなった23人(平均62歳)と比較対照として14人(平均53歳)が研究の対象となりました。
嗅覚神経の変性や軸索の喪失、微小血管の病理的変化について、比較しました。
結果として、以下の内容が示されました。
①COVID-19で死亡した場合には、嗅覚神経の変性や軸索の減少、微小血管障害が多くなっていました(例: 軸索の密度の平均で比較すると、COVID-19死亡例で2.973 × 104/mm2、これに対してCOVID-19非感染例 3.867 (0.670) × 104/mm2 となっていました)。
②嗅覚神経や微小血管の変化は嗅覚障害の症状に関連しており、COVID-19の重症度や感染の時期、ウィルスの有無とは関連していませんでした。
つまり、“COVID-19においては、嗅覚神経や微小血管の病理的変化を来すことが多く、嗅覚障害の症状と関連するかも知れない”と言えそうです。
COVID-19で認められる嗅覚障害で何が起こっているのか、少なくとも一部の現象が確かめられた研究でした。
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