
日本ではアセトアミノフェン中毒解毒剤、去痰のための吸入剤として使用されるN-アセチルシスチンですが、以前から抜毛症に対する効果が指摘されてきました。
今回は、かなり以前(2009年)の論文になりますが、抜毛症に対するN-アセチルシステイン(以後、NACと表記)の効果を調べた研究をご紹介します。
N-Acetylcysteine, a Glutamate Modulator, in the Treatment of Trichotillomania
A Double-blind, Placebo-Controlled Study
抜毛症治療におけるN-アセチルシステイン(グルタミン酸機能調整薬)
抜毛症に罹患した50人(45人が女性、平均34.3歳)が対象となりました。
12週間にわたって、二重盲検(治療者も患者も実薬か偽薬か知らない方法)で比較臨床試験を行いました。
結果として、以下の内容が示されました。
・NACを服用した場合には、明らかに今回使用された抜毛症の2つの尺度における症状の軽減を認めていました。
・“とても改善、あるいは非常に改善した”と回答したのはNACで56% vs 偽薬16%でした。
・明らかな改善は治療開始後9週間で認められました。
要約:『N‐アセチルシステインは抜毛症に有効である可能性がある』
日本でも適応が限定されているのでおすすめすることが難しい処方ですが、他の薬剤とは異なる機序での効果が期待できる内容でした。
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